三角コマ・ビースペース

2017/05/09

数ある養蜂器具・資材の中でこれだけは意味不明、いやその存在意義自体、全く分からないと思っているものがあります。

その名を「三角コマ」と言います。

この写真の真ん中あたりにある巣枠、白い三角形のものがついていますが、これが三角コマを取り付けた巣枠となります。

この写真にはホ式とラ式の巣枠も写っていますが、たまたま自距金具の手持ちが無かったので緊急処置的にラ式の巣枠に三角コマを付けたものが1枚だけ入っている状況です。
一度巣脾として入れちゃうとそのまま使っちゃいますけどね。
三角コマ付き巣脾が1枚入っているだけで巣脾9枚にプラスで給餌器入れるのがかなり苦しくなります。

本来、現代の養蜂で使用されている”可動式巣枠”は自然巣の綿密な実測によって導き出された理想的な育児圏のビースペース(隣り合う巣と巣の間隔)ができる絶妙の設計になっています。
(アメリカのラングストロスさんによって発明されたものでラ式の「ラ」とは「ラングストロス」のことです。)

ところがこの三角コマ、育児圏の理想的なビースペースを大幅に上回る巣脾間距離を確保してしまう為、巣脾が10枚入る様に設計された巣箱になんと9枚しか巣脾が入らなくなるという”謎機能を持つ資材”なのでーす。

そもそも、移動養蜂家が巣箱を移動する際、巣脾が動かない様にするため紐に数珠繋ぎされたコマを巣脾間に挟んで固定していたのですが、移動の前後で付けたり外したりするのが面倒だと紐を取っ払って直接巣脾に釘打ち固定してしまったのが現在の三角コマの発祥と聞いてます。
だから巣箱をしょっちゅう移動させない場合はまったくもって意味のないもののはず。

最大限好意的に捉えて三角コマを使った場合のメリットを考えると

1.移動養蜂家が巣箱・継箱移動させる場合、風通し良くなって蒸殺が起きにくくなる。コマ付き巣脾を9枚なら対角2か所を釘止めすれば巣脾が絶対動かなくなる。あ~楽ちん!
2.内検で蜂を潰しにくい?
3.貯蜜圏では巣脾を太らせることが出来るので蜜蓋切るのが比較的楽。
4.日本では養蜂のプロっぽく見えて自慢できる!?

巣脾間隔がこれだけ広がると育児圏の保温には圧倒的に不利となるのは自明の理です。
越冬や建勢に対して明らかに不利になることを日本の養蜂界では何故当たり前の様にやっているんでしょうね・・・。

固定飼するなら2以降は適当に巣脾間広げりゃ良いだけです。

移動養蜂家でもない固定飼養蜂で使うのはデメリットはあれメリットはまず無いパーツです。

移動の度に付けたり外したりは面倒だから固定しちゃったというのは先に書いた通りです。だから移動養蜂の場合には作業効率アップというメリットがあるんでしょう。
でもそれ以外の人にはほぼ意味の無いパーツです。

由来も知らずに他の人がやってるからってだけで使ってる人が多いと思います。

こういうのを使っているのは世界広しと言えど日本だけです。